保険適用になった白い歯(CAD/CAM冠)について

どうも、歯科技工士の『KEI 』です。

今回は、2020年に奥歯にも保険適用された「CAD/CAM冠」についてのお話です。

CAD/CAM冠

CAD/CAM冠(キャドキャムかん)とは(Cumputer aides design/Computer aided manufactring)と呼ばれるデジタル技術を用いて作られる、保険適用の“白い歯”の事です。

メリット

金属に比べて見た目がいいことはもちろん、金属アレルギーの心配がないのもおすすめです。

一般的に言われているメリットは上記のような感じですが、私が伝えたいことはその“作り方”です。

ポイントは作り方

CAD/CAM冠は、名前の通り、コンピューターを使って製作されます。

歯を作る方法は様々です。金属でも鋳型を作ってその中に溶かした金属を流し込む鋳造方や、削りだして作るミーリング方などがあります。

私は今までたくさんの技工士を見てきましたが、“ぶっちゃけ”ホントに上手な人は“ごくごく一部”です。国家資格を持ってるからと言って全ての技工士が上手なわけではないんですよ!

(警察官だって犯罪を犯して捕まることもありますよね?)

それと同じで、歯科技工士だからと言って歯を作る技術がみんな優れているわけではありません。技術の差は人それぞれだし、その中でもモチベーションが高く、常に一生懸命に仕事をしている人は決して多くはないと思います。

患者さんは技工士を選べない

残念ながら患者さんは技工士を選ぶことが出来ません。(そもそも患者さんは、どの技工士が上手かなんて知りませんよね...)

なので、“何十万円”もするインプラントを入れたとしても、歯を作っている歯科技工士が上手なのか、そうでないのかは運次第ということになります。

通常では、インプラントやセラミックなどの自費の仕事は、熟練した技工士が行う事が当たり前ですが、以前働いていた職場でも、人手不足もあったせいか、素人同然の技工士がインプラントの症例を担当している事もありました。

「患者さんは高いお金を払っているのに、こんな素人が作ったような“残念な歯”を入れられて、患者さんがかわいそうだなぁとよく思っていました。」

こういったケースは少ないのかもしれませんが、実際に私が目の当たりにしているので“ゼロ”ではないことはたしかです。

そんな“当たり外れ”のある歯科技工士が作った歯よりも、コンピューターで作った歯の方が、圧倒的に技術の差が少なくてすむのです。

そんなリスクを下げられる方法こそが、今回紹介する「CAD/CAM冠」というわけです。

CAD/CAM冠なら技術の差が少ない?

コンピューターで設計して、ミーリングマシンで削りだす「CAD/CAM冠」は、人の手がほとんど介入しないので、作り手による技術の差が少なく、安定した品質が提供できるのが特徴です。

もちろんそんな中でも作り手による差は生まれまてしまいますが、一から全て作るやり方に比べると微々たるモノではないでしょうか。

デメリット

ただし、「CAD/CAM冠」にもデメリットはあります。

「CAD/CAM冠」はハイブリッドレジンと呼ばれる材質で作られます。(セラミックとレジンを組み合わせた材料)

なのでセラミックに比べると、吸水性があり、着色や臭い移りの心配があると言われています。ただ、私は実際に口の中に装着して2年経過した「CAD/CAM冠」を見たことがありますが、特に目立った着色汚れはありませんでした。

オススメ

1番のおすすめは「CAD/CAM」で作ったジルコニアという材料を使った歯です。ジルコニアは強度が高いので、大きな症例にも使えるし、吸水性もないので1番のおすすめです。

材質的にはセラミックが1番いいのですが、セラミックは技工士が手で陶材を築盛して作るので、先ほどお話した通り、作り手によって品質の差が生まれてしまう恐れがあります。

ジルコニアは「CAD/CAM」を使うことが多く、ミーリングマシンによる削りだしでしか作れないので、品質の差が生まれにくいのが特徴です!

ただし、ジルコニアは保険適用ではなく、自費になってしまうので費用がかかってしまう事が保険適用の「CAD/CAM冠」に比べて劣る点と言えるでしょう。

 

以上が「CAD/CAM冠」についての私なりの見解です。少しでも参考になれば幸いです。

それでは皆さん、『歯ッピーライフ』を!